マネージャー目線で綴る
【マネージャー日記】シリーズ。
4月に入って芸能人の独立や芸能事務所の廃業や休止のニュースが相次ぎました。
芸能事務所・プロダクションの存在意義が問われている今だからこそ、
今回は芸能事務所の〝中の人〟つまりマネージャーの仕事について書いてみようと思います。
▼ 前回の記事はこちら ▼
気になる収入!芸能ギャラ事情
➖そもそもマネージャーって何をするの?
よく芸能人にはマネージャーがついて二人三脚で!というイメージがあると思いますが、
芸能人にはマネージャーが欠かせない存在かと言うとそうでもありません。
実際に大手事務所から独立した芸能人の中にはマネージャーをつけずにお一人で活動される方も居ます。
かの大女優、樹木希林さんもそのお一人でした。
仕事依頼の精査から、スケジュールの調整、台本のチェックや受け取り、ギャラに関する事まで全てお一人でさなっていたそうです。
ベテランになればなるほど、マネージャーとセットで行動しているイメージがありますが、新人こそマネージャーが大切。
マネージャーはその名の通り、マネージメントが仕事です。
この人にはどんな仕事が向いているだろう、その個性やキャラクター、特性を活かせるのはどんなお仕事か、どこに需要があるか見極めてアプローチしていく。
演じる仕事がメインの場合には、役作りの一端を担うことも。
資料を集めたり、時には監督やプロデューサーの意見や意図を的確に伝えなくてはなりません。
本読み、と言って台本を読みながら相手役を務めることもあります。
(こうした経験を重ねて芝居がうまいマネージャーも結構います)
ほとんど休みが取れないような、忙しい役者やタレントの場合には、本人の頑張りたい!という気持ちと、出演して欲しい!というニーズを踏まえた上でうまくスケジュールをコントロールしなくてはいけません。
体調やメンタルの管理にも気を遣います。
役者の場合はシリアスなシーンを演じたり、難しい役どころだとメンタルのケアもします。
普段は付き人に任せて、現場よりもマネージメントに徹しているマネージャーも、シリアスなシーン撮影には現場に立ち会う、という事で今日は現場にマネージャーが多いな、という事もあったりします。
出演者本人が現場に行っている間に営業に回っていたり、別件の打ち合わせをしたり。
別行動も当たり前だったりします。
こうして売り込みや、スケジュールの管理、本人のメンタルケアまでマネージャーの仕事は多岐に渡ります。
➖マネージャーと付き人は違うの?
マネージャーと付き人は似て非なるもの。
お伝えした通り、マネージャーがプロデューサー、サポーター的な役割なのに対して、
付き人はとにかく常に行動を共にして、身の回りのお世話をします。
運転手を兼任する場合も多く、マネージャーよりも長い時間を本人に寄り添って過ごすことになります。
趣味嗜好、行動パターン、交友関係…秘書に近い存在です。
付き人に常備薬の管理を任せる方もいたり、時には同居して炊事洗濯など家事全般も担う、ということもあります。
付き人は役者など自身が出る側を目指している、または目指していた、という方がなる事も多いのですが、それは現場での立ち回りをよく知っている・もしくはスタッフや共演者に顔が売れる、という利点があるからです。
映画俳優が銀幕のスターと言われていた時代は、若手の俳優を付き人にして面倒を見て育てる、という文化も根付いていました。
今は付き人文化が少なくなりつつありますが、代わりに現場マネージャーという、運転や現場同行がメイン業務のマネージャー職もあります。
付き人や現場マネージャーが現場で身の回りのお世話を担ってくれることで、タレントや役者は表舞台の仕事に全力を注ぎ、集中して取り組むことができます。
マネージャーも付き人も、日々の生活の大部分を表舞台で輝く人に対して費やすことになります。
一緒に行動を共にしていなくても、プロフィールや資料を作成して売り込んだり、今度のこの撮影に役立つかも知れないからこの本を買っておこう、作風がイメージにぴったりだからこのCMの制作スタッフにアポを取りたいな、と何気なくTVを見ている瞬間でさえ、仕事のことがよぎります笑
これはこの業界人ならではのあるあるで、職業病。朝イチ顔を合わせたマネージャー同士、OAが始まった新しいCMについて談義、なんて当たり前。
そうして、コツコツと表舞台に出る人を輝かせる根っこを作っていくのです。
だからこそ、根から芽吹き、立派な幹となり、素晴らしい花をつけるようになったあと、自分達の元を飛び立って行ってしまうのは寂しい。
そんな気持ちもわかります。
いち事務所の〝中の人〟としては、芸能人の独立のニュースをちょっと切なく思っています。
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